麻酔王国<総理大臣−その正体>

 私は,鉄友会の者と申しましたが,名は河本と言います。私は,情報省の長,つまり情報大臣であります。
情報省とは,郵政・インターネット通信および新聞や書物などの著作権の管理・監督をする役所であります。
勿論,行政の情報公開制度も取り扱っています。その一環として,この文章を書いているのです。
 それはさておき,私は国会終了後,田宮総理の公用車に乗っておりました。という事は当然,総理も同乗しております。
 「河本君。君はどうしてあの一件がバレたと思うかね。私には解らん。まあ,君みたいな臆病者が
 内部告発をしたとは思わないがな。」
 「総理。私は,大塚麻衣の改造に失敗した事が原因と思っております。死体遺棄の過程で,
 担当者がうっかり口を滑らせたのを,野党やブン屋にかぎつかれたものと信じております。」
 口では物騒な事を言っていますが,誰が殺人に賛成出来ましょうか。いえ,出来ません。
 車は大きな建物の前に停まりました。これが,残哲県鉄友会の党本部ビルです。
 守衛の男に手で挨拶すると,彼は敬礼をしました。可愛そうに,こんな化け物を総理と言って尊敬しているのですから。
 さて,中に入るとエレベーターに乗りました。そして,地下へと向かいます。ドアが開く瞬間から,憂鬱な時間となります。
 そこは,異様な光景が広がっています。まず,4つの小部屋があります。内訳は,病室風の部屋が2つ,
1つは診察室風,そしてあと1つが惨たらしい部屋で,手術室になっているのです。
ちょうど,手術室の赤いランプが点灯しています。 また一人の女の子が犠牲になったようです。
 「河本君。私は,手術を見学するつもりだが,君はどうするかね?」
 「はい,お供します。」
 この文章の取材の為に,また被害者達の為に,ここはがまんすることにしました。
 手術室の自動ドアがビュンと言う音をたてて開きました。
 まだ手術は始まったばかりの様でした。なぜなら,ベッドに拘束された被害者の顔から麻酔マスクを離したところだったのです。
 「総理。おやりになりますか?」
 「うんうん。またやってもいいのか。じゃあ,遠慮なくやらせてもらうぜ。」
と嬉しそうな顔をしながら言いました。何をするのかと見ていると,唖然としてしまいました。
彼はズボンを脱ぎだし,下半身の肉棒を剥き出しにすると,ベッドに横たわる女の子に重なるように乗っかったのです。
麻酔ガスで意識を失っているのを良い事に!
 私は,被害者の事を聞こうと,白衣姿の研究員に声をかけました。
 「先生。この娘はいくつなんです?」
 答えにもびっくりしてしまいました。11歳だと言います。私の孫と同い年なんです。
 総理は,気持ちよさそうに目を細めていました。そして,私の方をむくとこんな事を言い出したのです。
 「河本君。この手術風景に驚いているようだね。しかし,これだけではないのだ。もっとびっくりする事を教えてあげようか?
 いいかい,俺はなあ,人間じゃないんだよ。俺もサイボーグなんだ。150年前に手術を受けた。
 俺は,67歳という事になっているが,実際は220歳なんだぜ。2490年生まれさ。
 ちょうど,独立130周年記念式典が盛大に開かれた頃だね。俺も参加したのをよく覚えているよ。」
 「総理,じゃあ何故いたいけな少女達をサイボーグに?」
 「勿論,私の欲望の為さ。」
 「何故11歳の女の子を?」
 「俺は元々ロリコンだったんだ。それ以外にどんな理由があるって言うんだよ。」
 「・・・・・・・」
 「まあ,君みたいな真面目な人間には解らないだろうな。」

 またまた,「クロロシーン」をお見せできなかったのは,総理の正体に唖然とし,文章を書く気を失ってしまったのです。
どうか,私の心情をお察し下さい。
 次回こそはお見せ出来ると思います。では,次回お会い致しましょう。
                                      
     つづく

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