麻酔王国<初の手術2>
麻酔ガスで意識を失ってしまった犠牲者・大塚麻衣さん。
手術台の上で,下着姿になっていました。
三田は,彼女のお腹に手を置きました。体温でぬくもりがあり,また若くてピチピチした肌でした。
「全身麻酔完了。脈拍・脳波ともに正常だな。それでは手術を開始しようか。」
そう言いました。そこに居た人間はすべて頷くか,はいと返事をしました。
「まず臓器を摘出しろ。人工臓器に交換だ。ハートを用意しておけ。」
ハートとは,人工心臓の事です。
三田の持つ電気メスは,誰がどのように見ても「半田ごて」にしか見えません。確かに「電気」メスには違いないのですが。
600℃の高温のその先端が,麻衣さんの胸部から腹部までを切り開いていきました。
ジューと肉の焼ける音と匂いが漂います。彼女の顔が,僅かに歪みました。
麻酔が効いているとはいえ,その熱さに反応したようです。
そして,助手達が次々に極々普通の金属製のメスで,臓器を摘出していきます。
女性の象徴,子宮までもがその対象となったのです。そして,それらに代わって人工臓器が埋め込まれていきます。
「いよいよ心臓摘出だな。脈は?」
「正常です。」
「では始めろ。」
心臓が除去され,ハートが埋め込まれました。そして,チューブが接続されます。
内臓と骨格と両手足の改造が同時進行で行われていました。手術台の周りには10人以上の助手が,
なんらかの改造作業を行っています。
「心臓とチューブの接続はまだか?」
「ただ今完了しました。」
「人工血液への交換は?」
「完了しました。」
助手達のきびきびとした作業に,三田は大満足をしておりました。
三田は,胸の改造を助手達に任せ,手術台を離れ,一服し始めました。私は彼に近づきました。すると,彼はニコッと笑って,
「河本先生も大変ですなあ。あのエロ親父内閣に入閣したばかりに,こんな残酷な
光景につきあわさせられるとは。」
「ええ,これも仕事のうちですから。」
「本当にあんたは真面目なお人だよ。まあ,だから助かっているんだけどね。」
「・・・・・?」
「まあ,そこがあんたの取り柄だもんね。さて,手術に戻るか。」
と言って立ち上がりました。
「さあ,これで生殖器を除いてほぼ完了した。さて,この娘に目覚めていただくとしようか。」
と,操作盤のWと書かれたボタンを押しました。ちなみに,Vは電気メスのスイッチでした。
Wのボタンは,再び麻酔マスクが降りてきました。しかし,麻酔を嗅がせるならTのボタンです。
それに麻酔を嗅がせたら,目覚めてはくれません。
今度のマスクは,気付け薬だったのです。アンモニアが吹き出るマスクなのです。
これを嗅がせる事3分。彼女は,ゆっくり目蓋を開けました。目が澱んでいます。状況が飲み込めない様子でした。
暫く考えているうち,思い出しました。
「キャアッ,わたしどうなっちゃったの?」
「お目覚めかな,麻衣さん?君は,素敵なサイボーグに生まれ変わったのですよ。
これで,何時戦争が勃発しても,強い戦士として戦えますね。」
三田が淡々と話しました。サイボーグと聞いて,恐怖とショックで声が出せませんでした。
「さて,これから生殖器を交換してやるからな。麻衣さんには,きっと素敵な彼氏が居るんでしょうね。
その彼氏とHもするんだろう?この高性能性器で,彼氏に喜んでもらいな。きっと,今まで以上に可愛がってくれる筈だよ。」
確かに,麻衣さんには彼氏が居ました。しかし,サイボーグ姿で彼氏に逢うなんて,絶対出来ません。
彼氏は,きっと麻衣さんを嫌いになってしまう事でしょう。それを考えたら,恥ずかしく,悲しく,悔しい気持ちになりました。
三田が何か言っています。しかし,彼女は意識が朦朧として来ました。何重にも及ぶショックによるものでした。
そのまま失神してしまいました。
「仕方が無いな。アンモニアを!」
「意識レベルがゼロになりましたっ。」
「な、なんだと?・・・・体力自慢もここまでか。可愛い女の子だったのにな。」
と言うと,白衣を脱ぎ捨てて手術室を出て行ってしまいました。
今回はこれでお仕舞いにしましょう。この先は,グロテスクでお聞かせするのが怖くて仕方がありません。
では次回お会い致しましょう。
つづく