麻酔王国<コラム 〜前編〜>

[本社編集部注]今回より河本圭吾大臣のコラムを特大版(前編)として掲載します。


 1
 河本圭吾であります。
 今,私は田宮庄之助首相と鉄友会の党本部のある一室で大型スクリーンを眺めておりました。
それは,例の少女のサイボーグ化手術を録画したものであります。本日の被害者は,村田志乃・18歳です。
いつものコスチュームは何も無く,赤裸でベッドに拘束され,麻酔マスクを口許に装着されたまま,
メスで開腹されているところです。
 さて,手術シーンはそっちのけで,私は情報大臣として,この実験の中間報告をしておりました。
それをまとめたものを以下に示します。

 第1の実験台の大塚麻衣(19)は手術による精神的ショックにより死亡、
第2の実験台の保科沙羅(11)は麻酔ミスと体力不足が重なって死亡、
以下順番に田所良江(16)は人造心臓のショートによる感電死で死亡、
鶴見紀子(17)は麻酔ミスで死亡。これにより麻酔担当者クビとなる。
第6番目が楊 美莉(19)という留学生として来日した少女も失敗に終り,助かったが記憶消された。
7番目が村田志乃(18)で 初の成功者となり実験材料の誘拐に活躍。

 報告をしていると,三田が入室してきました。彼によれば,近々新しい素体が入荷されるというのです。
その際,初の実験成功者である村田志乃を使うということです。暫くすると,一人の女の子がやってきました。
それはサイボーグになった村田志乃であります。学校の制服であるブレザーにミニスカートを身にまとった姿は高校生そのものです。
彼女は本当に機械化少女なのでしょうか?三田の腕にある意味敬意を抱きました。
 「行って参ります。」
 彼女は一言言葉を言うと,三田と共に車でどこかへ出かけていきました。

 志村県の本橋地方,周囲は野菜畑が広がるのどかな風景に場違いな西洋館がぽつりと建っていました。
窓の数が少ない事に,誰でも容易く気付きます。それを見て,地元の人は「暗黒屋敷」と呼んでいるそうです。
窓が少ない分,太陽光の入射が少ないと思われます。周囲は野菜畑しかなく,風通しは抜群でした。
 この西洋館(我々も暗黒屋敷と呼ぶ事にします)は,国道に面していますが,一日の自動車の交通量は少ないのです。
野菜畑へ向かう農家の人と路線バス,郵便や新聞配達のバイクくらいのものでした。
路線バスも,一日三往復しか運行されていません。
 敷地内に池があり,小川となって外に伸びています。その小川を越える橋が国道にかけられています。
この建物は元々「環境研究所」という名前でした。一体どんな研究なのか実態がよく飲み込めないのが地元の人々の総意です。
 さて,この建物の前の国道を空いている事を良い事に,1台のワンボックスカーが猛スピードで走って来て,
建物の敷地に吸い込まれていきました。そして玄関の前に停まりますと,1人の男が出てきました。
ワンボックスカーの後部座席を運転席の窓から覗き込みました。スモークガラスになっていて外からは見えないようになっているのです。
そこには3人の少女が乗せられていました。そのうち1人は,手足に手錠をかけられ,口にはボールギャグをされ,
アイマスクで目隠しをされていました。更にもう1人はブレザー姿の女子高生でした。ブレザーが脱がされ,
ブラウスのボタンを開けられ,おっぱいが丸出しにされ,気を失っていました。残る一人は,村田志乃でした。
 村田志乃は車から降りて来ると,三田にお辞儀をしました。三田は軽く敬礼して応えました。それを見届けると,
ワンボックスカーのスライドドアーを開けると,ボールギャグとアイマスクで拘束された少女を無理矢理降ろすと,
その建物の中に入っていきました。
 建物の中に入ると,廊下がありそこの突き当たりに行きました。
 ダブルベッドが置かれ,そこに彼女を寝かせました。ボールギャグとアイマスクを外すと,彼女が声を上げる前に,
三田はポケットから白いハンカチを取り出すと,顔にあてがいました。彼女は,顔を左右に振って抵抗します。
手足もばたつかせたのですが,他の研究員が取り押さえているせいで,ままなりません。
しかし,車での長旅も手伝ってかすぐに気を失ってしまいました。
 それもその筈です。低砂から本橋まで高速道路を使ったとしても2日かかります。
ましてや,手錠で手足を固定され,ボールギャグで猿轡をされ,アイマスクで外の景色が見られないのですから。
 制服姿の少女は,車のガレージまで乗せられていました。
彼女は,拉致され,意識を取り戻すたびにクロロホルムのハンカチで眠らせられ続けていたのです。
そして,身体チェックと称して,クンニリングを志乃の手によってされていました。
その快楽から,意識を取り戻しかけていました。しかし,ハンカチで眠らせられることはありませんでした。
でもその代わり,その車の中で再びクンニリングされていました。
 この2人は後,サイボーグに改造されます。
 志乃によれば,近々更なる実験材料(素体)が手に入りそうだというのです。
 それは,日本からアイドルグループがやって来るのだそうです。そのアイドルを全員手術するというのです。
11歳以上23歳以下なら容赦しないというのです。尤も,国分公演となったのも鉄友会が招待したものです。
はなからそのつもりであったようです。
 何はともあれ,取敢えず志乃が拉致してきた2人の改造手術の様子をご覧頂きましょう。


 2
 「あれ?ここはどこ?」
 少女は,病院の病室のような部屋で目を覚ましました。何だか頭が重く,少し気分が良くありません。
それに,仰向けにされ,何故だかベッドに数箇所で拘束されているのです。足首・太股・手首・肘の上・胸・腰で・・・・。
そして,不思議なヘルメット状の機械で顔を覆われ,鏡張りになっており,顔が反射して,アップに映っています。
躰にはゴム状のシートが被せてあるのです。
(ゆ,誘拐・・・?)
 記憶を思い起こしてみました。確か,学校が終わってお家に帰る途中,雑木林の前でワンボックスカーに追い越されたんだっけ。
そしたら,大学生位の若い女の人が乗っていて,窓から道に迷ったので教えてくれといわれ,差し出された地図に気を取られたら,
スプレーみたいなものを吹き付けられて気を失ったんだっけ。
 誘拐。そんな筈はない。何故なら,彼女の父親はサラリーマンで,そんなにお金がある訳ではありません。金目当てでは無いようです。
病室みたいな部屋,このヘルメット,とても金に困って誘拐されたのではないのは明白です。躰が目的ならとっくにレイプされている筈です。
 遮音性の高いイヤーパッドを通して音を伝えるピックアップがOFFになっているので,大声を出さない限り,彼女に私の存在に気付く事はありません。
近づくと,透明シートに包まれ,黒いバンドで台に拘束され,女子高生のブレザー姿の肢体があります。
微弱電流によって光を自由に調整できる特殊構造の拘束ヘルメットの中で,あどけない顔を曝しています。
 彼女の記憶にある,女子大生にスプレーを吹きかけられ眠った後の事をお話ししましょう。
 「大臣,お喜び下さい。とても可愛らしいお嬢さんですよ。」
 「うむ,今行く。」
 彼女がここへ連れて来られた時の,三田との会話です。例の手術室があるのは,B1で更に階段を降りると,B2があります。
ここから地下高速道路に繋がっており,今ワンボックスカーが突き当りである,駐車場に止まっていました。
そこには,ストレッチャーに横たわる武藤亜紀・17歳が居ました。腕から点滴チューブが伸びています。三田は,チューブを抜くと,素早く止血処置をしました。
そして,一礼するとそのまま出て行ってしまいました。
 成る程,可愛い少女です。まだ17歳・高校2年生です。紺色のブレザーにブラウス・スカートを身にまとった田舎育ちらしい娘です。
亜紀は,大きな呼吸をし,ブレザーの胸を盛り上げさせました。亜紀は,喘ぐように2・3度息をつくと,また深い眠りに落ちていったのです。
日本の北海道からの留学生です。北海道出身の女性は肌が美しいというジンクスがあったのですが,本当に美しかったです。その上,17歳となれば鮮度も抜群です。
 ストレッチャ―から彼女を抱き上げると,エレベーターを使ってB1へ昇って行きました。彼女の体重は,42sと軽めですが横になっている分重く感じます。
ぐったり横たわる姿は妙に色っぽく,そして弾力に包まれていました。私の右肘に頭が乗ると,黒いロングヘア―が後に垂れ下がりました。
 廊下の右側に部屋があり、その突き当たりに手術室があります。奥から手術室、第2診察室、病室、第1診察室となります。
第1診察室は,運ばれて来た少女の身体検査をし,それに合わせて薬(特に麻酔薬)の調合をします。本来,麻酔は麻酔マスクに内臓のセンサーが感知してくれるのですが,
故障や病室で使用する場合を想定して実施しています。
 第1診察室は病室風の部屋で,部屋の真ん中にベッドが置かれています。そこにゆっくりおろすと乱れた髪の毛を整え,おでこを撫でてやりました。
そして,ブレザーの皺を伸ばしてやると,口許にタオルを当てて,だらしなく垂れた涎を拭き取ってやりました。
 「1時間お待ち下さい。」
 「え?1時間も?」
 「はい。薬の調合にお時間がかかるんです。」
 「成る程,解った。では宜しくお願いしますよ。」
 そして,待機室でカルテを眺めていました。身長152p,スリーサイズ86・59・82とあります。17歳らしい身体です。1時間後,待機室のドアがノックされ,三田が顔を出しました。
 「用意出来ました。」
 「ご対面して戴いて,アンモニアを嗅がせて,四肢を拘束してから,彼女には催眠薬入 りジュースを飲んでもらいます。次の小学生も同じですので。」
 これが本日の計画です。四肢を拘束し,咽喉が乾いたろうと言って,オレンジジュースを差し出しました。そして,彼女は再び目を覚ましたという訳でした。
 私は,無線マイクのスイッチをONにすると,
 「武藤亜紀,聴こえるな。」
 いきなり耳元から聞こえてきた老人の声に,彼女は身を硬くしました。そして,ヘルメットの中で思わず視線を泳がせました。
老人の声は,国営鉄道の車掌さんの様な温か味がありましたが,車掌さんがこんな事する筈がありません。何が何だか良く解らなくなってきました。
 抵抗が無駄な事,反抗的な態度には厳罰が与えられる事,命令は絶対である事,全ての指示を二度繰り返すと,
 「解ったな?理解できたんなら,頷くんだ。」
 反射的に頷きました。車掌さんみたいな温か味のある声,指示に従えば助かるかもしれない,そう感じた。チャンスを待つしかありません。
 ヘルメットを外して欲しいか,と訊ねました。彼女は数回に渡って頷きました。
 ベッドに歩み寄った私は,電子ロックを解除すると,ヘルメットのフェイスプレートを持ち上げました。外の新鮮な空気が心地よく,夢中で吸い込んでいます。
 あたりを見回せるだけの余裕を取り戻すと,仰向けに固定されたまま,室内を凄いスピードで見回していました。
 「武藤さん,良いですか?これから貴女にはあるモノをご覧いただきます。それを参考に して,貴女も私たちを楽しませて下さい。」
 そこには初老の優しそうな男が,ニコニコ微笑んでいました。それは,新聞やTV,インターネットのホームページで見た事のある河本圭吾その人でした。彼女は全てを悟りました。
 「さて,スクリーンをおろして即席映画館を創りますから,少々お待ちを・・・」
 そう言うと,スイッチを押しました。すると,電灯が消され,黒いカーテンが窓を塞ぎ,大型スクリーンが天井から下りてきました。そして,三田の助手の新条がやってきました。
 手で挨拶すると,私は手術室へと向かいました。新条はそれを合図に,第2診察室へ向かいました。そこには三田と被害者の女の子がおりました。
彼は新条の連絡で,女の子の腕に注射をしました。
 私が白衣に着替えているうちに,少女を手術台に移動させていました。
 私が手術台に歩み寄ると,少女は手術台の上で,華奢な肉体が横たわっていました。シルクの掛け布団が胸から太股までを覆っていました。
この娘も北海道から連れて来たので,透き通る肌と浮き上がった鎖骨が幼いが,艶かしくもありました。蒲団からはみ出した膝頭が可愛らしいのです。
11歳とは思えない色気です。藤川葉月(それが彼女の名前です)は,両腕を身体の横に揃えて,やや脚を開いています。筋弛緩剤のせいで動けないでいました。
「や,やめてくださいっ!お願いです,お願いです!」と懇願する顔も美しいものでした。
 ベッドの脇には何種類ものガスマスクが置かれてありました。プラスチックケースには,クロロホルムを浸した白いハンカチが収められています。
勿論麻酔薬として使います。ガスマスクは深い眠りを与える為のものです。
 彼女は,スカートにTシャツを着ていました。流石に小学生なので,スポーツブラにキャラクター入りのパンティーでした。
お河童頭で,いわゆる「ピッグテール」(2つ分け)でした。身なりは11歳でも,「色気むんむん」です。私は布団を除けると,Tシャツを捲り上げお腹を出すと,手を置きました。
ほのかな体温が伝わってきます。小学生なので,まだごわごわした感じです。彼女は「いやあ」と大声を出しました。お腹に付く脂肪,これが若い年頃の娘の魅力です。
しかし,11歳の葉月にはそれがないのです。だからごわごわした感じに思えたのでしょう。それに,恐怖で緊張しているのもあるのでしょう。
 「さあ,始めましょう。」
 そう言うと,研究者達が手術台の周りに集合し,準備を始め,天井の大型ライトが明々と点灯しました。三田は,聴診器を葉月の左の乳房に当てると,心拍を確かめながら,
エチルエーテルのコックを捻ると,麻酔マスクで彼女の口と鼻を覆いました。シューと言うガスの噴射音がしています。四肢を拘束され,首のみ自由の葉月の口許を鼻と共に覆いました。
葉月の顔が醜く顔を歪めました。そして,顔を左右に振って逃れようとしています。しかし,三田が彼女の頭を軽く押さえ付けている為,思うように行きません。息を止めているのでしょうか。
力んでいるようです。しかし,そうそう息を止めている訳には行きません。とうとう大きく吸い込んでしまい,目蓋をゆっくり閉じました。スゥースゥーという葉月の寝息が聞こえてきます。
三田は,少し離れた所にパイプ椅子を置き,腰をかけました。そこにはモニターがあり,呼吸・脈・血圧・意識レベルが映し出され,吸引させる麻酔ガスの濃度を調節するのです。つまり麻酔医と言う訳です。
 厳重に密閉されたマスクによって「魔法のガス」を1分嗅がせました。すると,白い肌が徐々に桜色に染まっていきます。まるで湯上がりのようです。
しつこいですが,彼女は11歳です。今度のガスは一酸化炭素です。取り扱いに気を付ければ,決して「毒薬」ではありません。
 三田はメスを葉月のお腹に走らせて手術を始めていきました。
 モニターを通して見ていた亜紀は,顔を真っ青にし,ぶるぶる震えていました。恐怖と驚きで身体を硬くしていました。亜紀の口許に,ボールギャグを噛ませました。言葉にならない呻き声をあげています。
 「亜紀さん,今度はあなたの番です。麻酔は受けた事がありますか?何,ちょっと吸い込 めば楽に眠れますよ。そして,眠ったままサイボーグに生まれ変われるのです。なんと立派なことでしょう。
そうはお思いにはなりませんか?」
 「・・・・・・」
 手術室では葉月が全裸にされ,脂肪が付いていない腹部にメスが入れられていました。そして,臓器が次々と摘出されていきます。幼い子宮も例外ではありません。
そして腹腔内は心臓と肺以外,空洞になりました。そこへ,人工臓器や人工骨格,人工神経に人工脳が埋められていきます。すでに6人目ということもあり,慣れた手つきでまるで早業のように手順が進みます。
大塚麻衣の時もスイスイ事が進み,三田は満足そうにしておりましたが,今回はそれ以上に早く進んでいます。
 人工臓器を埋め込み終えると,今度は腹部を縫合し,そして人工皮膚が手際よく張られていく様子を,武藤亜紀は見ていました。
 (わ,私も・・・ああなっちゃうの・・・・・・?)
 心の中で独り言を言いました。絶望感に包まれ,やる気を無くしていました。
 「改造手術完了!形式番号,BGS−2。」
と技術者達の大きな声がモニターから聞こえてきました。
「さあ,葉月さんの手術が終わったようです。今度はあなたの番です。」
 技術者達の声と共に葉月の身体はストレッチャーに乗せられ,どこかへ運ばれていきます。それと同時に,亜紀もストレッチャーに乗せられ,手術室へ運ばれていきました。
その道中,葉月の乗ったストレッチャーとすれ違いました。生で見るサイボーグです。何とも不気味な物体でした。それを見た亜紀は,ボールギャグの下から悲鳴をあげました。
 「それでは武藤亜紀の手術を執り行う。」
 三田の声に亜紀は気を失いかけましたが,新条に頬を軽く叩かれ,意識を辛うじて残していました。そして,そのまま手術台に移され,いつもの様に手脚を拘束具で固定しました。
手術台の上は,葉月の血液と体液でべったりとしています。
 「猿轡を取ってあげなさい。」
 三田の言葉に新条が反応しましたが,彼女は四肢を固定されているので,恐怖が募り,声すら出ない状態です。それでも,筋弛緩剤の注入が行われ,一層動けなくなりました。
 「さあ,お待ちかねの麻酔です。たくさん吸い込んで下さいね。これを吸えば楽に眠れま すよ。」
と言いながら,私は麻酔マスクを亜紀の顔に近づけました。
 (お母さん!!お兄ちゃん!!助けて!!お願い助けて!!)
 「むぐうううううっ!!」
 麻酔マスクで鼻と口を覆われました。彼女は心の中で助けを呼びましたが,無駄と分かると諦めたかのように大きく息を吸い込みました。そして,そのままゆっくり意識を失ったのです。
 彼女も手術に成功し,BGS−3という形式番号を与えられました。
 こうして、藤川葉月と武藤亜紀は改造されたのです。村田志乃は、実験台の誘拐役を務めていますが、では葉月と亜紀はどう利用されるのでしょうか。
葉月は実験台にコスプレ衣装を着せる際の手伝い役で、亜紀は手術を行う執刀医役を務めるのだそうです。


  3
 「国分のみなさん、こんにちは!」
 ステージの上でチアリーダーのユニフォーム風の衣装に身をまとい、明るい笑顔を振りまく少女たち。そう、鉄友会が招待しコンサートをしたのち改造手術を施す予定のアイドルグループ「サンフラワーズ」です。
 今日はいよいよ国分公演。熱狂的なファンを前に美声を披露しているのです。
 演目の全てが終りアンコールにも応え、楽屋に戻って来た彼女たち。とそこへ一人の女性が入ってきました。週刊誌の記者に扮した村田志乃です。
今日はこのサンフラワーズにインタビュー取材をしにやってきたのです。
 「まず、自己紹介をお願いします」
 バックダンサーのミワこと湯浅美和(21)は中肉中背、色白で肩まであるセミロングヘアをアップにまとめています。彼女は、新型麻酔ガスの実験台として麻酔されたら記憶を消されます。
 ボーカルのユウこと萬崎優香(19)は169cmの長身で、地黒で背中の真ん中まであるポニーテールで、丸顔をしています。目がキリッとしており気が強そうですが実は心優しいお姉さんであります。
彼女は、SPBGS−2、つまり改造するに当って気合が入っている実験台であります。
 そしてもう一人のバックダンサーがヨウコこと池尻葉子(15)です。あの田宮庄之助の孫だそうで、目に入れても痛くないそうです(本当に入れたことがあるそうですが、田宮はサイボーグですからちっとも痛くなかったそうです)。
彼女は、孫ゆえ対象外になっているようです。
 この3人組のうち2人を改造するわけです。で、さっそく拉致をすることになっているのです。
 楽屋のドアが開きっぱなしになっています。ドアとは反対に向かって座っています。志乃がいろいろと質問をし、彼女らは時に3人で相談しながら真剣に受け答えをしています。
ですから白衣を着た男たちが彼女の後ろに回って立っているのに気がついていません。一応志乃の後ろにも立たせてあり、この男に気づいてやっと騒ごうとしましたが鼻と口を白いハンカチで覆われてしまいました。
甘ったるい香りがします。抵抗しようにもガタイのいい大男に押さえ付けられて身動きも取れません。多少動けるのですが、ちっとも効果がありません。段々視界が霧のようにぼやけてきました。
そして、萬崎優香が気を失い、湯浅美和も気を失うと、つられるように池尻葉子も気を失ってしまいました。

                                   (つづく)

戻る